実家へ。
母は先週のことはすっかり忘れていた。
事が起きた時も、
来週にはもう忘れているんだろうなと思っていたけれど、
やはり忘れてしまっていることに、
ほっとした自分がいる。
こういう時、認知症はありがたいな、と思う。
認知症も悪いところばかりではない。
私も森の家で時間を過ごし、
気持ちはすっかり鎮まっていた。
ま、しょうがない…と
自然とそう思えるようになっていた。
過ごす場所が変わると、
気分も、考え方も変わる。
特に自然に囲まれた森の家で過ごすと、
小さな出来事に心を持っていかれなくなる。
振り子はまた静かに真ん中に戻ってゆく。
自然が私(たち)にもたらしてくれるものは、
本当に大きい。
1週間の中で、
実家、東京の家、森の家の
それぞれを行き来していると、
「大変でしょう」とよく言われる。
確かに移動は長距離で、
体力的に楽ではない。
けれど森の家で過ごす時間は、
私の心を確実に支えてくれている。
メンタルを病んでいたあの頃、
もし森の家での暮らしがなかったら、
私はここまで回復していなかっただろう。
実家では、
何事もなかったかのように、
今日も時間が流れていた。
母はこの穏やかな時間も
忘れてしまっているのだろうか?
私はただ、
今この穏やかな時間を
そっと噛み締めている。