所用で松戸へ。
松戸に行くのは初めてで、
途中、電車の窓から眺める江戸川のが
春の光を受けてキラキラ光る。
用事を終えて、
近くにあった戸定邸へ足を向けた。
その存在も知らず、
「近くにある」というだけの理由で、
ふらっと立ち寄ったのだけれど、
思いがけず素晴らしい建物に出会った。
ここは江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の弟で
水戸藩最後の藩主であった徳川昭武の住まい。
明治時代に建てられた木造の邸宅は、
「徳川家」という響きからは想像する豪奢さとはほど遠く、驚くほど簡素だった。
けれどもその簡素さが、
かえって建物の美しさを際立たせている。
窓に嵌められたガラス。
一見するとなんでもないように見えるけれど、
近づいてよく見ると、光をやわらかく歪ませる。
今の均質なガラスにはない、
独特の味わいがある。
ガラス越しの光を見ながら、
ここで流れた時間のことを思う。
室内にはひな祭りを前に、
可愛らしい布製のお雛様が展示されていた。
庭にある河津桜はちょうど満開。
半袖でもいいくらいの陽気で、
季節はもう春そのものだった。
思いがけず、
時が重なった午後。
▪️戸定歴史館











