「お薬が入りますよ〜」
記憶はそこまでだった。
毎年の人間ドックで、久しぶりの胃の検査。
バリウム検査は絶対的に嫌なので受けることはない。
胃カメラは最後に受けた時が、
ものすごく苦しかったので、
いろいろな理由をつけて避けていた。
なので今回は全身麻酔のような鎮静剤を使ってくれるところを選んだ。
「ご気分が悪かったら、これを押してくださいねー」
という声が遠くの方で聞こえた。
シャーっとカーテンを閉める音がして
再び記憶が遠のいた。
どれくらい時間が経ったのかわからないが、
「森ノさーん、どうですかー?
起きられますかー?」
という声が聞こえた。
口を思うように動かせず、
モゴモゴとしか答えられなかったが、
「はーい、もう少しお休みくださいねー」
シャッとカーテンが閉まる音がして、
三度目の眠りに落ちた。
朦朧とした意識の中で、
あれ?検査は?
ん?もう終わってるのか?
えー!すごーい!鎮静剤ってこんなに効くものなのか!?
どんなに上手な先生がやってくださっても、
どんなにカメラのケーブルが細くなろうとも、
口からあんなものが入って、
お腹の中をグリグリされるのである。
苦痛以外の何者でもない。
検査が始まる前、担当してくださった看護師さんに、
「とても苦手なので、ご迷惑をおかけしてしまうかも…」
と言ったら、その看護師さんは仰った。
「全然大丈夫ですよぉ〜!
私なんて、検査中にカメラを引っこ抜いちゃったんですから〜」
気がつけば終わっていた〜胃カメラ

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