朝、デッキに出ると、
ふわっと暖かな空気を感じた。
いつもの朝よりも、ずいぶん暖かい。
今日は朝から暑くなりそうな予感がした。
気温はぐんぐんと上がり、
お昼頃には20度を超えていた。
雨が降った後の気温上昇で、
いろいろなものが一気に芽を出してきた。
それはもう本当にニョキニョキと、
驚くほどの勢いで。
今年は辛夷がいつもの年に比べると、
よく花をつけてくれた。
ようやく。
毎年毎年、
「咲かない、咲かない」
と辛夷の前で愚痴をこぼしていた。
この森の家に来てから9回目の春。
辛夷の木は当初からあった。
比較的大きな苗木だった。
植えたばかりの頃は、
土地に馴染んでいないのだろう…と思っていた。
けれどその後もなかなか咲かなかった。
やっと数年前から、
2輪、3輪と花をつけるようになった。
今年もあまり蕾を見つけることができなくて、
もうこの辛夷の木は「咲かない木」なのだと、
半ばそう思いはじめていた。
ところが!
午後になって見ると、
白い花をいくつも開いているではないか!
立派な辛夷の木には及ばないけれど、
今までの様子とはまるで違う花数だ。
やっと「やる気」を出してくれたのだろうか。
それとも「咲かない、咲かない」と、
こぼしていた声が聞こえていたのだろうか?
見えないところで、
ずっと準備をしていたのだろう。
待つという時間も、
きっと何かを育てている。
来年以降が楽しみになった。
辛夷の花は春の始まりを告げる花。
桜が咲く前、春一番に咲く。
厳しい冬を超えた後に、
真っ白な花を咲かせるのだ。
この辺りではよく見かけられ、
その白い花が満開になった景色は、
本当に美しい。
やっと春本番だ。
同じ春の日々を、こちらにも…
芽生え
春へ向かう雨の夜に
