実家には月に一度、
かかりつけのドクターが訪問診療に来てくださる。
以前は毎月通院していたのだけれど、
父の外出がだんだんと難しくなってきたため、
今のこの形になった。
本当にありがたいことだ。
かかりつけのドクターには、
もう40年来お世話になっている。
両親の過去の病歴は全て把握してくださっているので、
安心してお任せしている。
両親も絶対的な信頼を寄せていて、
もはや公私ともに気心の知れた間柄だ。
家族の歴史を知る、かけがえのない存在だ。
ドクターとのおしゃべりは
両親にとってはいつも楽しいひととき。
昔の海外旅行の話や車の話など、
限られた時間の中でも笑いが絶えず、
いつも和やかな空気に包まれている。
訪問の際には血圧や脈などの
チェックはもちろんのこと、
こうした何気ない会話の中でも、
ドクターはさりげなく両親の様子を丁寧に見てくださっている。
顔色や声の張り、滑舌など。
いつもと変わりがないかを確かめているのだろう。
これも長い年月のお付き合いがあるからこそ、
気づけることなのだと思う。
最期は自宅で、
このドクターに看取っていただきたい。
それが両親の願いである。
今日はその訪問の日だった。
部屋からはいつものように穏やかな笑い声が聞こえてきた。
今日という時間が、
静かに守られていること。
そのことに、そっと感謝する。