ナガミヒナゲシが風で揺れている。
モネのひなげしの絵が、ふと思い出される。
いつの頃からか、
あちらこちらで見かけるようになり、
今では多くの地域で駆除が呼びかけられるほど、
爆発的に増えた。
可愛らしい花なのに。と思う。
まだ日本ではほとんど見かけられなかった1997年頃、
私は家族でドイツにいた。
ドイツ人でも「あそこは田舎ね」と言うほど小さな村で、
美しい丘陵地が広がっていた。
車道の脇にたくさんのヒナゲシが揺れていた。
遠くまで穏やかに続くやさしい緑色の丘に、
てんてんてんと赤い花が見える。
ほとんど絵の中でしか見たことのなかったヒナゲシが、
目の前で自生していた。
花壇の中ではなく、
誰に植えられたわけでもなく、
ただそこに、咲いていた。
モネの絵の中にしかないと思っていた世界が、
本当に存在したのだと、胸が弾んだ。
実際にはモネの絵のように
群生しているわけではなかったけれど、
それでも私の目にはそのように映っていた。
美しいと思った瞬間、世界は少し盛られるものだ。
あの景色は今でも忘れられない。
日本でもヒナゲシが見られるようになって、
とても嬉しかった。
ドイツの広々とした景色はないものの、
公園の脇や、コンクリートの割れ目に
たくましく咲いている姿を見ると、
あのドイツの丘を思い出した。
揺れるヒナゲシを見て、
かわいいなぁと、いつも思っていた。
そのヒナゲシが、
ナガミヒナゲシという外来種で、
その旺盛な繁殖力から危険視されていることを、
後になって知った。
要注意外来種には指定されていないものの、
駆除が呼びかけられている。
守られるもの。
取り除かれるもの。
在来種か、
外来種か。
ただそれだけで分けられてしまう。
人は?
人はどうなのだろう…
ヒナゲシの花言葉は、
思いやり、いたわり、癒し。
ヒナゲシの花言葉
