旅行の計画の当初は、
ドイツからストックホルム(スウェーデン)へ行き、
ストックホルムからフェリーでヘルシンキに行く予定だった。
夕方に出発し、船中で一泊して翌朝の到着という行程だ。
一人、妄想する。
北欧の夏至の夜。
ストックホルムから小さな島々の間を抜けてバルト海へ。
ゆっくりと船は進む。
太陽は沈まず、白夜の幻想的な海の景色が目の前に広がっている…
私は白夜の海が見たかった。
諸々の事情で、旅の予定を大きく変更したので、
船旅はなくなってしまった。
ヘルシンキでの初めての夜。
20時頃はまだ全然明るい。
15時くらいの感じだ。
夕食を終えて、レストランから出ると、
外はまだ燦々と太陽が降り注いでいる。

22時を過ぎた頃、やっと夕方の空になる。
それから少しずつ空は薄暗くなってゆく。
ヘルシンキの夏は、夜になっても薄明が長く続く。
夕方と夜の境目が、どこまでも淡く溶けていくようだ。

そうは言ってもだ。
2時を過ぎた頃は、そこそこに暗い。
「夜」に限りなく近い。
少なくとも「白夜」という感じではない。
ん?
白夜はないのか?
と思い、調べてみた。
スマホのお天気アプリを見てみる。
するとヘルシンキには、
ちゃんと「日の入り」と「日の出」があり、
「夜」が来るのだった。
なんと…
白夜を体験するには、
もっと北の北極圏を超えた街、
ロバニエミあたりまで行かないと体験できない。
ロバニエミでは6月の始めの頃から、
7月の始めの頃までの約1ヶ月間、太陽は沈まない。
湖の淵に眠らない太陽と、
湖面には針葉樹の森のシルエット。
空の色はオレンジと薄紫色に染まっている…
多分。
白夜の海を船で渡る…という妄想は、
妄想のまま終わった。
