今日の森から

二つの又三郎

車のエンジンをかけるとラジオから、
懐かしい声が聞こえてきた。

あ。ムーミン…と思った。
優しく、どこかユーモラスな岸田今日子さんのお声だ。

岸田さんが朗読をされていた。
「又三郎…」と出てきたから、
すぐに宮沢賢治の「風の又三郎」とわかった。

ところがどうも違う。
私の知っている又三郎とは、何かどこかが違う。

私も随分前に読んだきりだから正確に覚えているわけではない。
ん〜?そんなお話だったっけ?
又三郎なんだけれども又三郎ではないような。

そしてもう一つ気になったことがあった。
岸田さんが、「宮沢賢治作、風の又三郎」と語られた時の、
『風の』のイントネーションだ。

文章で表すのは難しいけれど…
一般的に「風の」は、音の高さで言うと「カ↗️ゼノ」と、
下から上に上がって、「ゼノ」は同じ高さの音。

岸田さんの「風の」は「カ↘️ゼノ」と上から下がってくる。

例えて言うなら、
「森のりす」と「森野りす」と言った時の違いと同じような(笑)

何かが違う…と思い、帰宅してから調べてみると、
なんと!
「風の又三郎」は二つあることが判明。知らなかった。

よく知られている「風の又三郎」と、
それよりも前に書かれた「風野又三郎」

納得である。
岸田さんが朗読されていたのは「風野又三郎」の方だった。


最後まで聴いていたかったが、
朗読の途中で目的地に着いてしまったのが、
なんとも残念だった。

「風野又三郎」は青空文庫にもあるようなので、
「風の又三郎」と合わせて読み比べること確定である。

今日、9月21日は宮沢賢治さんのご命日だそう。
そして今年は生誕130周年とのこと。
偶然に聴くことができた、「風野又三郎」の物語。
これも何かのご縁だろうか?





ありがたい聴き逃し配信サービス。
岸田今日子さんの「風野又三郎」の朗読は、
下記のリンクから聞くことができます。
私もゆっくり聴きたいと思います。
9月28日月曜日午前8:55まで。

もうだいぶ前に旅立たれてしまった岸田今日子さんのお声で聴く「風野又三郎」は、今となってはとても貴重かもしれない…


朗読 故・岸田今日子が読む、宮沢賢治『風野又三郎』(全8回)

NHK AMラジオ
朗読
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=LRK2VXPK5X_01